2024年8月28日水曜日

バリ山行

 芥川賞を受賞した本であったので、何気なく手に取って読んだ。

芥川賞なので面白いということはないが、現実の中年の人間の心のうちが描かれている。

よくある話ではあるが仕事場でのゴタゴタや意味がないようなことに時間をかけていたり、不安に駆られたりするが、そういった不安からくる見苦しい行動を見せない人間に嫉妬している中年が描かれている。

だが、変わった人間が特に幸せになるわけでもなく、日常が続いていく。主人公が変わった行動をとるようになるが、それでも日常はあまり変わらない。

現代の労働者の苦労とよくある心のバランスの取り方が描かれているが、それが評価されたのだろうか。

2024年8月1日木曜日

半導体ビジネスの覇者

 TSMCの本。

シリコンバレーでもない台湾でなんでいきなりTSMCが出来たのか不思議ではあったが、YahooだったりNVIDIAだったりに台湾人がいたりして、台湾自体はソフトウェア産業に強い人材が多いようだ。

台湾自体は、意識的に海外に人材を送り出して、そして海外で活躍する台湾人が増えたようだ。おそらく、西海岸であれば、台湾人も入り込めたというのがあるのだろうと思う。

そうして、生まれた人材に台湾の命運を左右するような企業を作るために台湾政府と協力してTSMCが生まれたのだというのがわかる。

技術的な要素が台湾にあったからというよりは、人的な資源が台湾にあって、その結果として台湾にTSMCが生まれたようだ。

日本も同じように海外というかアメリカの大学などに意図的に人を送り込んでいかないといけないのではないだろうかと思うなどする。

国費留学とかもっと増やせばいいのになと思うなどする。

イノベーション全史

 近代における発展の非連続的変化をまとめたものになる。

ほとんどアメリカでの発展の歴史なっている。

近代の非連続の発展のほとんどがアメリカで発生しているというのもあるのだろうと思う。

イノベーションという非連続的な変化の話自体もだけど、アメリカの中産階級がいて、終身雇用があって、といった状況が50年前くらいにアメリカにあったというのが、面白いし、日本も同じような道を辿っていると思えなくもない。

全史と言っているくらいだから、非常に参考文献が多い。よく調べられているし、この本を元にさらに知りたいイノベーションの歴史の一部分を掘り下げて行っても良いと思う。

ただ、熟読するような内容ではなかったし、そんなに面白い本ではなかった。

2024年6月23日日曜日

半導体戦争

 半導体やソフトウェアにかかわるのであれば、必読であると思える。

どのように半導体産業が発展してきていて、各国の関係がどうなっているのかがわかる。

半導体をくみ上げるには地球規模での協力体制が必要で、そのすべてを西側諸国が掌握している。また、半導体は戦略物資で戦争の火種にすらなりうるものだ。エネルギーに近い。

半導体のあるなしで、戦争の勝ち負けが決まるからだ。

そして、アメリカが半導体のすべてを牛耳っているわけではないけれども、サプライチェーンを作り上げて、半導体を設計するソフトウェアや技術をすべて持っている。

日本がソフトウェアでアメリカに勝てないわけだと痛感する。

アメリカは、アプリケーションを作っているような企業でも、半導体の設計のような低レイヤーを把握しているようなコミュニティーがあって、アプリケーションを作っているようなひとの隣の部署だったりするわけだ。

最適化やそもそもの発想がアプリケーションだけを作っている日本とは根本的に異なると思う。

2024年4月21日日曜日

リーンソフトウェア開発と組織改革

 リーン開発の本の三部作の三冊目。

タイトルにある通りに組織に焦点を当てていると思う。

24のフレームに分けて解説されている。

  1. 顧客中心
  2. システムの能力
  3. 開始から終了までのフロー
  4. ポリシーが生む出すムダ
  5. 本質的複雑性
  6. 構成的な実装による品質
  7. 進化型開発
  8. 深い専門性
  9. 裏づけのある実績
  10. ワークフローの平準化
  11. プル型スケジューリング
  12. 適用制御
  13. 完璧を視覚化する
  14. ベースラインを決める
  15. 問題を顕在化させる
  16. 改善の仕方を学ぶ
  17. 知識労働者
  18. 助け合いという規範
  19. 相互尊重
  20. 熟練の誇り
  21. 理論から実践へ
  22. ガバナンス
  23. 団結
  24. 持続可能性

イーロン・マスク

 電気自動車やロケットについて、有名になるかなり前から取り組んでいる。当たり前ではあるが、時代というのはこういう人が作っていくのだなと感じる。

第一原理から考えて市場に対して競争力のあるものを作るという姿勢は素晴らしいが、ある意味ではたまたまという面もある気がする。
根本から作るという意味だと、半導体製造にも踏み出してもよさそうだが、それは行っていない。たぶん複雑すぎてマネージできないのだと思う。
ある意味では、ワンマンの限界みたいなものも垣間見られる。
自動運転に関してもかなり最新のことも書かれており、今読むことに価値がある本という感じだ。
すくなくとも、トヨタではなくてテスラの株を買おうかなと思わせるものがある。

イチョウ 奇跡の2億年史

  イチョウは、植物界の生きた化石だということだったので興味がわいて読んでみた。

正直なところ、研究者の成果の系譜について箇条書きでつらつらと書き連ねられているだけなので、研究者にとっては良い本かもしれないが、その他の読者にとってはそれほど興味深く読めるものではなかった。

イチョウについて、調べたり書いたりするときに道しるべとなる本であるとは思うので、資料としてはかなり価値があると思う。

楽しく読むような類の本ではないという感じだ。

2024年1月20日土曜日

システムを作らせる技術

  経営や事務側の人たちがシステムを作るにあたって、どのように主体的にかかわっていけばいいのかを描く目的で書かれているが、難しすぎて、結局はIT部門の人が行うんじゃないかなと思う。

他の部署の人に特定の機能をどのように作ってもらえばいいかを考えるにあたって、手に取ったが、業務システムの作り方に多くのページが割かれていたので、あんまり参考にはならなかった。

ただ、目的から入るというのは当たり前だけど、WhatとかHowから入ってしまいがちというのは反省するべきところかなと思った。やはりWhyのところから入りなおすべきなのだろう。