2018年4月29日日曜日

宇宙に命はあるのか

表紙が漫画絵なので損しているなという印象であるが内容は宇宙開発の始まりの物語になっており読み応えのあるものになっている。
第二次世界大戦とその後の冷戦の中で宇宙に行くためのロケット開発が行われていたわけであるが、政治的な目的としては常に軍事であったものについて、科学者はそれに協力しつつ自分たちの宇宙開発のためにそれを利用したというような構成になっている。

それにしても1969年というコンピュータも貧弱でインターネットもない世界でよく
月に行って帰ってこれたなという感じだ。アフリカ大陸の何処かにいる2匹のライオンが、GPSもなしに待ち合わせ通りに出会う。というのを読んだだけでも無理だと思ってしまう。鳥は翼で空を飛ぶ。人はイマジネーションで月に行く。というのが印象的である。

後半は宇宙開発の近年の部分についての紹介になっており、惑星の写真で亀裂のようなものが見えたら、液体が惑星にあって、その表面を氷のようなものが覆っていてヒビが亀裂に見えるのだというのが印象的であり、写真を見ただけで今後は内部に液体があることが想像できるのは面白かったが、やはり前半のほうが内容が濃いように思える。

2018年4月13日金曜日

サピエンス全史 (上) (下)

話題になっているし読みたいと思っていたけれども高いので中古の値段が下がるまで待っていたけれども、一向に下がらないのでメルカリで購入して読みました。
上下巻と長いので途中で挫折するのもわかるわけで、下巻は未使用です。という出品が多かったので、下巻は綺麗なまま読めました。
長いから途中でやめてしまう気持ちもわかるけれども最後まで読んだほうが楽しめます。
躊躇している人は下巻の訳者あとがきだけ読んで買うか決めるのが良いと思います。よくまとまったあとがきです。

内容としては、認知革命とその前後、農業革命とその前後、産業革命とその前後、現在。について書かれています。認知革命というのは人類だけが獲得した空想を信じることで他人を信用して行動する能力だと理解しましたが、文化とも言えると思います。その前後で人類が他の人類種を絶滅に追いやっているというのは考えれば分かることとはいえ、指摘されなければ気がつけないので、まさに目からウロコが落ちる体験ができます。
産業革命と言うか科学と帝国主義とその相乗効果と企業による一国の支配とか、学校で習っているはずだけれども理解できていないことが丁寧に描かれています。
本書に書かれていたわけではありませんが、例えば、テンセントの社長が日本の首相に自衛隊の海外派遣を命令して、それが実際に実行される世界がかつてあったということがわかります。そう考えると今はとても良い時代です。
本書全体と通して時折触れられるのは、種全体で見たときのデータとしては良い方向に向かっていることは確実であるけれども、個人で見た場合には、原始の時代よりも人間が幸せになったいるわけではないという事実でした。
個人として幸せを感じていないのにもかかわらず、種としての繁栄を選択している人類の生物的な面をしているという事実を描きつつ、現在の科学の発展により、人類が、そのような生物的な種の側面すらも変える可能性が現在はあり、それが今までの発展とは全く別の特異点になる可能性を指摘して本書が終りましが。
本棚にとっておきたい本の一冊にはなったので、おすすめであるし多分今世紀中は読み継がれる可能性があるなと感じています。