20世紀及ぼ21世紀のアメリカについて記述されている。時代が近いので上巻よりは面白いがそれでも淡々と歴史が語られているという点は同じである。
産業の発展で大量に生産されたものを吸収することが出来ずに大恐慌に突入し、それを回復させたのは戦争であった。
ただ、景気が上向くと福祉に対して予算が振り分けられる様になり始めている。
第二次世界大戦においては、国民の総動員が必要とされるという特性から黒人や女性の社会への進出が促された面もあるようだ。
50年代からは景気は上向き続け、中産階級が生まれている。社会全体が豊かになり貧困がなりを潜める時代らいい。
これらの人たちは、現代の老人世代となる人達だ。
豊かな成長は長期間は続かず、景気が冷え込むとともに社会のありようも変わる。雇用が守られることはなく貧富の差は拡大し始める。
アメリカのひどい貧富の差の拡大というのは、80年代から続く傾向のようだ。除法技術がそれに拍車をかけたにせよ、政治的にもそのような方向に向かっていたようだ。
9.11でアメリカは一体化したかに見えたが、実際には分断し続けている。というの実際のところに感じる。
分断の種類は、人種だったり、労働者かどうかなどだったり、時代によって変わるが、常に分断と対立の国内政治という感じだ。
だからこそ2大政党制というの機能しているのかとも思う。
黒人差別も同様で、常に改善が模索されるが大した改善はしないというところだろうか。
興味深いのは、アメリカ社会にも基本的には良心があり、景気の拡大と資本の集中が行き過ぎると社会福祉に関心が向いて、大統領がそのような課題に取り組むということだ。ただし、取り組んだとしても国内の反発にあい、政権は大きな成果を残すことなく社会福祉の課題解決には至らないという点だ。
おそらく次期政権も社会福祉政策を実行しようとするだろうけれども、反発にあい実現しないのではないかと思う。
結果的に、外交に力を入れるようになり核の拡大につながらないかは懸念される。軍事予算が増えれば工場が増えて労働者に富が分配されるので心配である。
一貫しているように感じるのは、経済的な影響力を強めた集団が自分たちの利益のための決断をしていくという点だけな気がする。