2021年5月3日月曜日

数学に魅せられて、科学を見失う

 かつて物理を学んだ身からすると現在の状況に悲しみも感じる内容となっている。

科学は実験により検証されて初めて理論が価値のあるものになるが、実験自体が難しかったり、高価だったりで、理論と実験の検証というイテレーションが高速に回せなくなった現代の高エネルギー物理学では、理論の評価がもっぱら専門家(同僚)からの承認になっていて、科学的な価値の追求をしているとは言い難い状況になっているようだ。

もともと、実験結果というものも人間のバイアスとは無関係ではなくて、すでに正しいらしいと考えられている値に寄せていってしまうところがある。実験がたくさんできれば、そういうところも是正されやすいのだろうけれども、高エネルギー物理学では難しい面もある。

また、現代では研究者は論文を出してコミュニティから認められる必要があるため、はやりのテーマに人が集まりやすく、テーマ自体に間違いがある可能性があっても、コミュニティ全体が間違った方向に進み続けているといった危険性もある。

そして、30年近くほとんど目立った成果が無い状況となっている。

確かに、自分が学生の頃から超弦理論はあったと思うし、それについての実験も行われていたと思う。

それらが、科学者の妄想に過ぎない可能背もあるし、それを疑うのが科学的な姿勢といえると思う。

本書の中でも、火と水と土などを元素とした説明で自然が記述されている時代があり、もっともらしく信じられていたわけだが、現代の理論も未来から見れば、同じように馬鹿でたものである可能性もあるのだ。

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