2020年1月14日火曜日

中央銀行

これ、かなり面白かったです。

僕と同年代の人なら概ね面白く読めるのではないかと思います。
35歳前後。

学生時代とか社会人なりたての頃にテレビで行われていた経済についての議論の中心にいた日本銀行の総裁の書いたもので、当時感じていた違和感に対する日本銀行の中の人が何を感じていたかがわかって面白い。

当時は、日銀の施策で景気が回復するのだから、日銀がなんとかすべきみたいな論調があったと思うが、金利をいじったりお金の供給量を増やすことで本当に景気が回復するのだろうかという違和感を個人的には感じていた。
韓国企業などには、すでに製造業は負けていたし、海外ではまるでシェアを取れていないことは明らかだった。

実際に日銀の人たちも、金利の操作などで景気が回復するとは思っておらず、景気が悪い原因は生産年齢人口の減少にあるというのは調査から明らかだったようだ。
当時から少子化とは言われていはいたが、経済に深刻なダメージを与えるといった論調は聞かれなかった気がする。しかし、日銀などの内部で明らかだったようでレポートなども作成されている。
https://www.boj.or.jp/research/brp/ron_2012/data/ron120831a.pdf

生産年齢人口の変化は10章などでも取り上げられており、参考になる。

日銀自体が、巨大なシンクタンクで、レポートも出しているので、今後も追いかけるべきだと思うには十分な説得力を持つ本になっていた。
他のレポートは
https://www.boj.or.jp/research/brp/ron_2019/index.htm/
このあたりにある。

日本の景気に対する見方もちょっと変わったと感じている。
日本人の能力の変化というよりは、不良債券が多すぎたために、企業が新規の投資をすることが出来なくなり、人も雇えなくなり、古いものを古い人達が古いやり方で継続する以外に選択肢がなかった。
その間に、アメリカなどではIT企業が育ち、もはや勝ち目がないくらいに差が開いてしまったといった感じだ。
人も技術も古くなっても終身雇用で人を変えることもままならないというのは、不良債権に限らず、経済的な問題が社会全体で発生した時に、取り戻すのに時間がかかる要因になっているのだなと感じるなどする。

日本型の終身雇用でうまくいくためには、継続的な新卒採用とセットであるが、それも止まった期間があるので、知識や文化の継承もままならず、取り戻すのにあと20年くらいかかるのではないかと危惧する。


https://www.amazon.co.jp/dp/4492654852/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_EAihEbY7QR38B

0 件のコメント:

コメントを投稿