2018年10月23日火曜日

ドキュメント トヨタの製品開発: トヨタ主査制度の戦略,開発,制覇の記録

良書だと思います。
トヨタの製品開発について物語調で描かれている。その内容についての解説もあるので読みやすいし参考になる。
トヨタの製品開発における主査の役割をメインに描かれている。今で言うプロダクトマネージャーがトヨタでは主査と呼ばれているようである。
主査が一つの製品の取りまとめを行うが、組織上のヒエラルキーの上にいるわけではないので、行動の価値を各部署に説明し納得してもらって製品を作るというところなど、まさにプロダクトマネージャーといった感じである。
海外のプロダクトマネージャーの本を読んだあとにこの本を読むとトヨタの凄さが分かる。
ただ、主査がすべてを把握しなければならないので主査が把握できる限界値が作れる製品の限界値のようなやり方であるとも言える。
日本は車は作れるけどロケットは作れない。なぜならシステム化が苦手だから。みたいなのを読んだことがあるが、ソフトウェアも大規模化することでシステマチックに開発しないと世の中の大きな会社には勝てないのかもしれないと感じた、
とはいえ、この本は良い本です、

2018年10月18日木曜日

ドリルを売るには穴を売れ

有名なマーケティングの本です。
内容としては読みやすくて面白いです。
単純に読み物としても楽しめます。
何かを提供して対価を得るためにすべき基本的な事というか当たり前にすべきことが書いてあります。
何を、誰に、何故、どうやって、売るのか?
これが明確になっており一貫性があることが原則のようです。
これらについて各章ごとに物語と合わせて解説してくれます。
たぶんこれが守らているからと言って必ず売れるわけではないのだろうけれども、商売をうまくするためには必要なことのようです。


最強囲碁AI アルファ碁 解体新書 増補改訂版 アルファ碁ゼロ対応 深層学習、モンテカルロ木探索、強化学習から見たその仕組み

ニューラルネットワークなどあまり知らない人間が読むのに良いと思う。内容的にも楽しめたし、深層学習の概要について概ねつかめるのではないかと思う。
ニューラルネットワークで層を多くしていった時に発生する問題の解決策が重みの計算の単純化などであり、それがブレイクスルーになったといった内容は興味深いものだった。
一見すると複雑な計算をした方が良さそうに感じてしまうが、数値計算をしてみるとそうでもないのである。
前半でアルファ碁が生まれた背景などに触れられていたりしており、後半につれて内容がより深くなっていくので、前半だけ読むだけでも十分楽しめると思う。


2018年10月16日火曜日

生涯投資家

おじさんならわかると思うが、村上ファンドで有名な村上さんの本。
ライブドアで悪目立ちしたホリエモンのとばっちりで逮捕された感が当時もしたが、本を読むとホリエモンのことを評価しつつもリスクとりすぎで驚いたなどと言っており、それなりに距離感があったのかもななどど思う。
自分が正しいと思っている価値観の通りに他の人間も行動しないと我慢できない性分なのだなと読み取れるし、自分でも自覚している模様。
悪い人ではないとこは分かるし、テレビで目立っていた当時も金儲けのために目立っていたのではなく、世の中を良くしたいという善意というか使命感からの行動であったということは本からわかる。
ただ、当時のテレビの感じを知らないと本としては楽しめないと思うし、コーポレート・ガバナンスがなぜ重要なのかとかそれが会社の評価と使えるお金の量にどう関連するのかなどが全く記述されていないので内容としては薄く感じる。

2018年10月2日火曜日

ソフトウェア工学の基礎

自分が読んだのは岩波書店の本であるが、良い本だと思う。
網羅的にソフトウェア開発の全体像が書いてある。
ソフトウェア開発を実践で行ったことがある人が読むと自分の体験が整理されるのではないかと思う。
それと同時に、この本に書かれているような当たり前のことが実際のソフトウェアの開発現場においては出来ていないということもわかると思う。
要求と具体的な実装との間のコミュニケーションをどのように行うのかというようなことについて設計について記述されていると思う。そこから実装、保守へと本の内容が進んでいく。
最終的には保守のコストを下げるべく再利用可能なソフトウェアの構築に言及されてはいるが、具体的なことは、組織として取り組む必要があると言いったことだけであるが、それは本の分量的に仕方がないことかと思う。
一読の価値はあるし、手元においてくと良い本かと思う。

2018年10月1日月曜日

会社四季報の達人が教える10倍株・100倍株の探し方

レビューが良かったので読んでみたけれども、あまり良い本とは言えないかと思う。
四季報を使っているのでデータの話が読めるかと思ったが、データらしいものといえば、上場間もない、創業者がまだ経営をしている会社が10倍になる可能性があるというものだけだった。確かにある程度大きくなってしまってからだと、そこから更に10倍になるのに時間がかかるというのはそのとおりだと思う。
あとは、割とこじつけが多いなという印象である。

2018年9月23日日曜日

はじめての人にもわかる金融商品の解剖図鑑

いろいろな金融商品が広く浅く解説してあって勉強になった。
この本ではこのようにすべきと言うようなことは書いてはいないが、メリットとデメリットがきちんと書かれており自分のように金融商品にあまり詳しくない人間が読むのには良いと思う。
専業のトレーダーでない限りは
・株式投資はインデクス投資
・債権は国外
・それ以外は買う側が不利なものばかり
といった内容になるかと思う。
金融商品が役所から名指しで、良くない商品だと言われているものもあるのだと知って驚いた。そしてそれを知らずにみんな買っているのだなと。。。
株主優待目当てで生株を買うのはいいかもしれないがやはりインデクス投資がいいようだ。
金融商品というのは、お金に余裕のある人に対して利益ではなく安心や夢を売っているのであり、最終的な金銭的な利益は提供しないというのがよく分かる本であった。
保険についても示唆があったが、死んだときなどには備える必要があるが、医療保険などは無駄で、医療保険が払える経済力があるなら、入院などしたときにも貯蓄でなんとか出来る。というのはそのとおりだなと言う感じ。それよりは就業不能なクリティカルな状況に備えたほうが良さそうだ。


2018年9月19日水曜日

the four GAFA 四騎士が創り変えた世界

良書でした。
Google、Amazon、Facebook、Appleについては、自分がIT関連の技術者というのもあり知らないことはあまりないだろうと思いつつ、改めて知らないことがあるかなと言う気持ちで読んでみたら知らないことだらけだった。
特にAppleが高級品としての地位を確立していった結果として、4社の中で最も寿命が伸びるだろうというのは納得感があった。
Amazonにしても参入障壁の構築のために物流を牛耳ろうとしていることは、知っているようでいて実は気がついていないことが書かれていた。
Googleにnews記事を提供したメディアは結果として没落しており、最も重要な顧客の情報はGoogleのものになっているという。最近だとユニクロがGoogleと協業するというnewsが出ていたが、顧客データをGoogleに握られて販売チャネルが自社のサイトではなくGoogleの検索窓にならないようにユニクロはどうやって自社の情報などを守っていくのか注視したい。
ITの技術に関することは書かれておらず、ビジネスの観点から見た企業についての情報が書かれているので、技術者の方が楽しめると思う。

2018年9月11日火曜日

世界の経営学者はいま何を考えているのか――知られざるビジネスの知のフロンティア

内容は現状の経営の学者の世界がどの様になっているのかの紹介が主になっている。
トランザクティブメモリーといった、誰が何を知っているのかといった話は役に立つとは思う。自分もその部分が読みたくて買ったわけであるし。
経営学の状況については単純に楽しめるが、それが役に立つのかというとそうでもない気がする。

2018年9月8日土曜日

Bluetooth Low Energyをはじめよう (Make:PROJECTS)

BLEについての基本的な仕様などについて書かれている。
Advertisingはscanの際に用いられるし、CCCDはNotificationなどの時に必要な知識になる。ただ、これらを知らなくてもアプリケーションを作成するのに困ることはないとは思う。
BLE関連のライブラリの作成やBLE関連デバイスとアプリケーション両方を作ろうとしている前に一通り読むと良いと思う。
ただ、AndroidやiOSには、本に書かれていないKnowHowがある。

2018年9月7日金曜日

オリバー・ストーン オン プーチン

これはだいぶ面白い本であった。
西側から見たらロシアは悪者だが、どんな行動もロシアにはロシアの事情があっての行動だったりするのがよく分かる。
実際に、どこまでが真実かはわからないけれども日本で触れるニュースとは違った視点が持てるのか確実だと思う。
日本はやはり西側の国なのだというのがはっきりと分かる。
本を読むとシリアやトルコに対しても認識が変わる。
地理的な条件と石油がどこで出るのかということが国際関係に大きく関係しているのがわかって面白いので、
本を読んで国の地理的な関係がわからなかったらGoogleMapを見てみるのが良いと思う。
とてもおもしろい。
何年か経ってから読んでも面白さが半減するし、おそらく真実味が薄らぐので今読むのが良いと思う。

2018年9月2日日曜日

せつない動物図鑑

子供向きだけど、大人でも面白いです。
すぐ読めちゃうので、飛行機(国内)とか新幹線とかの移動中に読むのが良いかなと思います。
わりと共食いする赤ちゃんや親食い子食いする動物の話があります。

銃・病原菌・鉄

1万3前年前からの人類の発展について地理的な条件などを合わせつつ解説してくれる本。
地域の発展の差異は、それぞれの場所の動植物の種類の豊富さ、地理的に文明が伝達する速度など、基本的には自然環境が人間の発展にもたらした影響に関して丁寧に解説してくれている。また、東南アジアに関しては人種の豊富さについて触れられており、日本のように単一民族国家というのはかなり特殊で、それぞれの国で人種間の軋轢は多少なりともあり対立が過去にあったのを現在も引きずっている例があることを知れたのは良かった。

ただ、丁寧な解説は良いのだが、丁寧すぎて何回も同じ説明が行われているように感じもしたので、若干、読み物としてのテンポは悪いように感じた。個人的には下巻のほうが面白かったので、上巻で飽きてしまっても下巻まで読み進めるのをおすすめしたい。

横井軍平ゲーム館

 昔のおもちゃの生みの親についての本であるが、半生を振り返るというよりは、開発されたおもちゃの開発秘話などをほぼ時系列に追っているものになる。
ヒット作がいくつかあって、自分が生まれる前のものでも自分も知っていたりするが、それらが技術革新の結果もたらされたものではなくて、すでに世の中にあるものを工夫して、ヒット作を生み出しているさまが面白い。
アイディアだけでヒットを生み出すというのは、夢があるようでアイディアが出せない人間からすると、今までにない技術革新を生み出すのと同じくらいの難易度なのでなんとも参考にできる部分があるようでない内容であった。

2018年8月26日日曜日

Kotlinイン・アクション (Kotlin in Action)

全くのプログラミング初心者には良くないかもしれないが、少しでもプログラミングしたことあるのであれば、Kotlinに触れたことない人が最初にKotlinにふれるのに良い本だと思う。
網羅的にすべてを扱っているので、初めてでもリズム良く読める。
各章の最後にまとめがあり、そこだけ読んでから気になる章を読んでも良いと思う。
Effective〇〇みたいに、ある程度の経験がある人向けに模倣すべきパターンや避けるべきことが書いてあるわけではないので、これで入門して他の良本がでるのを待つのが良いかと思う。

2018年8月18日土曜日

リクルートのナレッジマネジメント

ナレッジマネジメントをどのようにするのかという方法について書かれているというよりは、ナレッジを共有する過程が描かれている。
最初は営業組織のサポートを目的としたチームが、サポートのためにはナレッジの共有が良いという感じでナレッジの共有を行っている。
ツールを作ったあとでも、そのツールを利用する人のどんな利益になるのかということを営業することで広まっていっているというのも印象的。
「組織とは、実態的なコミュニケーションの存在する場のこと」
「組織だからコミュニケートをしなければならないのではなく、コミュニケーションを必要とするからこそ組織」
というのも良い。そのグループは誰にどんな価値を提供するのか?何を目的とするのか?
これが明確だと、何を共有してコミュニケーションする必要があるのかが明らかになると思うし、それが明確でないとコミュニケーションの意味もあまりなくなる。


2018年8月2日木曜日

一生モノの株のトリセツ

株の値動きの予想など出来ないし、世の中の何らかの情報によって株を売買する人たちの株に対する需要と供給の変化により株の値は決まる。
その需要と供給の関係を最も表しているのが株のチャートであって、チャート以外は見る必要はないし、あれこれ道具を揃えるよりも、一つの道具を極めたほうが良いというのは最もな意見だ。
世の中の人があまり知らない情報を探し当てて、株があがる前に買って大儲けしたいと夢見るものだが、そんな情報はないし、チャートの動きから需要と供給がどう動いているのをしっかりと学ぶべきかも。
若干の胡散臭さはあるものの書いてあることの大半は良い内容かと思う。

2018年7月24日火曜日

関数プログラミング実践入門

関数型のプログラム言語を知らなくても、javaなどでlambdaなどに触れていれば理解できる内容になっているし、1から説明してくれるので、順に読んでいけば理解が可能な内容になっている。

プログラム言語は他の言語などから影響を受けることもあるわけであるが、Rxを触ったりKotlinを触ったりするなどしているとHaskellなどからの影響もあるのだななどと感じるし、使い方などについて理解が深まったような気もする。

Haskellを仕事で利用しないならばサンプルのプログラムなどをじっくり読む必要はないとは思うが、全体に流し読みするだけでも面白いかと思う。


2018年6月24日日曜日

中国に勝つ 日本の大戦略 プーチン流現実主義が日本を救う

口語で書かれていて読みやすい。 基本的に著者の書いている文書を読んだことがある人であれば、ものの見方とかには目新しいものはない。

現代の中国と日本を含んだ他国との関係を事実関係を元に解説していく形式で、自分が知らないことなどがいくつかあるわけなので面白い。

当たり前であるが、孤立しないように味方を増やすことで戦争を回避するということが描かれていることと、中国の国家としてのライフサイクルを見た際に、数年内に混乱が起こるという主張には妙な説得力がある。


2018年4月29日日曜日

宇宙に命はあるのか

表紙が漫画絵なので損しているなという印象であるが内容は宇宙開発の始まりの物語になっており読み応えのあるものになっている。
第二次世界大戦とその後の冷戦の中で宇宙に行くためのロケット開発が行われていたわけであるが、政治的な目的としては常に軍事であったものについて、科学者はそれに協力しつつ自分たちの宇宙開発のためにそれを利用したというような構成になっている。

それにしても1969年というコンピュータも貧弱でインターネットもない世界でよく
月に行って帰ってこれたなという感じだ。アフリカ大陸の何処かにいる2匹のライオンが、GPSもなしに待ち合わせ通りに出会う。というのを読んだだけでも無理だと思ってしまう。鳥は翼で空を飛ぶ。人はイマジネーションで月に行く。というのが印象的である。

後半は宇宙開発の近年の部分についての紹介になっており、惑星の写真で亀裂のようなものが見えたら、液体が惑星にあって、その表面を氷のようなものが覆っていてヒビが亀裂に見えるのだというのが印象的であり、写真を見ただけで今後は内部に液体があることが想像できるのは面白かったが、やはり前半のほうが内容が濃いように思える。

2018年4月13日金曜日

サピエンス全史 (上) (下)

話題になっているし読みたいと思っていたけれども高いので中古の値段が下がるまで待っていたけれども、一向に下がらないのでメルカリで購入して読みました。
上下巻と長いので途中で挫折するのもわかるわけで、下巻は未使用です。という出品が多かったので、下巻は綺麗なまま読めました。
長いから途中でやめてしまう気持ちもわかるけれども最後まで読んだほうが楽しめます。
躊躇している人は下巻の訳者あとがきだけ読んで買うか決めるのが良いと思います。よくまとまったあとがきです。

内容としては、認知革命とその前後、農業革命とその前後、産業革命とその前後、現在。について書かれています。認知革命というのは人類だけが獲得した空想を信じることで他人を信用して行動する能力だと理解しましたが、文化とも言えると思います。その前後で人類が他の人類種を絶滅に追いやっているというのは考えれば分かることとはいえ、指摘されなければ気がつけないので、まさに目からウロコが落ちる体験ができます。
産業革命と言うか科学と帝国主義とその相乗効果と企業による一国の支配とか、学校で習っているはずだけれども理解できていないことが丁寧に描かれています。
本書に書かれていたわけではありませんが、例えば、テンセントの社長が日本の首相に自衛隊の海外派遣を命令して、それが実際に実行される世界がかつてあったということがわかります。そう考えると今はとても良い時代です。
本書全体と通して時折触れられるのは、種全体で見たときのデータとしては良い方向に向かっていることは確実であるけれども、個人で見た場合には、原始の時代よりも人間が幸せになったいるわけではないという事実でした。
個人として幸せを感じていないのにもかかわらず、種としての繁栄を選択している人類の生物的な面をしているという事実を描きつつ、現在の科学の発展により、人類が、そのような生物的な種の側面すらも変える可能性が現在はあり、それが今までの発展とは全く別の特異点になる可能性を指摘して本書が終りましが。
本棚にとっておきたい本の一冊にはなったので、おすすめであるし多分今世紀中は読み継がれる可能性があるなと感じています。