2017年1月11日水曜日

イノベーションと企業家精神

結論から書くととても良い本だった。すべての企業がイノベーションを日常の業務としなければならないとか、イノベーションと言われているものが実際にはイノベーションの中でも最もリスクの高いものであるとか。

イノベーションは成功の可能性が高い順番に
・予期せぬ成功、予期せぬ失敗などの予期せぬ事象
・ギャップの存在
・ニーズの存在
・産業構造の変化
・人口構造の変化
・認識の変化
・新しい知識
の7つにわけられ、上の4つは企業や公的機関の組織の内部、産業や社会的部門の内部の事象であり、下の3つは外部の事象となる

予期せぬ事象
失敗については分析が行われるが、予期せぬ成功について目を留めて分析することが世の中ではあまり行われていないし、成功を認めないこともしばしばであるが、成功している内容を調査分析することで大きな成功につなげることが出来る。予期せぬ失敗は世の中の変化の兆候であり、これまでの状況を踏襲した分析を行うのではなく消費者への直接的な調査などが求められる

ギャップの存在
業績のギャップとして、需要が伸びているのにもかかわらず業績が伸びていないのであれば、何かしらのギャップが存在する。それを解消することでイノベーションが起こせる、ただし、新しい技術の開発に必要な知識は十分に揃っていなければならず、そうでない場合は時期尚早である。
認識のギャップとして、業績向上のための努力として行っていることが努力の割にその成果が十分に出せない場合がある、そういった場合は努力する場所に対する認識を変えることによってイノベーションが起こせる。
価値観のギャップとして、プロが売れると思って売っているもの出ないものに対するニーズが存在し、それを提供することで一定の市場を得られる。大抵の場合はプロが価値があると定義してないものに対してニーズが存在する。
プロセスのギャップがある、日常において不便に感じている手順に対する改善であったりする。そこに入り込めるのはその業界にすでにいる人間だけである。

ニーズの存在
プロセスのニーズとして、プロセス上の課題を明確にして単純化することでそれを解決する事により世の中にすぐに受け入れられるイノベーションとなる
労働力というニーズは常にあるが、それを何かしらの形で変更することにより利益が得られる。
知識のニーズもあるが、イノベーションを起こせるような単体の知識だけではなく、それを使えるように出来る新しい知識との組み合わせでイノベーションが起こせる
ニーズには条件があり、
完結したプロセスについてのことである
欠落した押し部分が1箇所であること
目的が明確であること
目的達成に必要なものが明確であること
課題であることが世の中で認識されていること
条件として、ニーズが何なのかが明確に理解されており、イノベーションに必要な知識がすぐに手に入り、消費者の身の丈にあった解決策である必要がある

産業構造の変化
産業構造は変わりやすく、それを見極めることができれば成功するにあたり確信が持てる。以下のような兆候がある。
人口増加や経済成長を上回って成長している場合、2倍に成長する間に構造の変化が起こっている。
規模が2倍になると同じくして、それまでのやり方が陳腐化する
幾つかの技術の合体も産業構造の変化をもたらす
仕事の仕方が急激に変わったいるときも産業構造の変化が起きる

人工構造の変化
人工構造の変化は予測可能でしかも時間的な猶予まであるが、それが生かされないケースもしばしばある。総人口ではなく年齢構成が重要である。

認識の変化
認識の変化の兆候は世の中にあるが、大抵は一時の流行であり、それの違いを見極めるのは困難だ。

新しい知識
知識によるイノベーションは富だけでなく名声ももたらす。リスクも高いが最も成功した祭のリターンも大きい。新しい知識の発見から市場での利用が行われるまでにはだいたい25年〜30年かかる。ある程度立ってから、別の知識と組み合わせることで市場に投入可能な状態となる。


イノベーションのためには上記の7種から機会を分析し、焦点を絞り可能な限り単純化し、小さく始めて、必ずトップを狙う必要がある。

既存企業でのイノベーションのためには、既存事業とは人も評価も切り離さなければうまくいかない

ベンチャーにおけるイノベーションでは、財務が重要でありキャッシュがあるということがとても重要である、創業者が技術者でマネージメントが苦手であった場合に、善良な創業者でなんとかマネージメントしようとするところは技術も中途半の半端になるが、マネージメントを諦めて他者に譲ったところは、一度うまく行かなくても技術は残っているのでやり直しが効く可能性がある。

戦力として総力戦で挑むのはリターンも大きいがとてもリスクも大きい。
創造的模倣と言うか柔道戦略としているが、
既存企業が見向きもしな新しいイノベーションにより競争相手がいないところで成長する。
最も利益が上がる部分以外の市場での不満を解消することで新規参入が可能となる
既存企業は投資してきたものに価値があるとしてしまうが消費者にとっては必ずしもそうではない
多機能追求も結果としてどのような消費者も満足させられないものとなっていまう

など、ほとんど箇条書きでまとめてみたけれども良い内容だった。
15年後に利用している知識、スキル、道具は現在のものとは全く違うものになっているという点については非常に同意できる。



2017年1月1日日曜日

村上海賊の娘

面白くはあったが、感動するほどかというとそうでもない。

キャラクターは魅力的ではあるが、ファンになるほどではない。

未熟な娘が、未熟さを自覚してそれまでの娘にはない行動に出る過程を描いた物語であるが、その部分の成長に共感できるかというと、そうでもない。

読んでも損はないが、よほど暇な時にしたほうが良いと思う。